Tu&Aki’s Couple Life

ゲイが考える『ベトナム』『アジア』『海外旅行』『日本』『仕事・働き方』そして『大事な彼氏』のこと

もう一度LGBT法案を考えてみる

以前、LGBT法案について書いたのですが、
もう一度、これについて考えてみます。

LGBTの当事者(G)なので・・・

 

tuaki.hatenablog.com

 

この法律の全文は以下のとおり。

 

令和五年法律第六十八号
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律


(目的)
第一条 この法律は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を受け入れる精神を涵かん養し、もって性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とする。


(定義)
第二条 この法律において「性的指向」とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう。
2 この法律において「ジェンダーアイデンティティ」とは、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいう。

(基本理念)
第三条 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならない。

(国の役割)
第四条 国は、前条に定める基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

地方公共団体の役割)
第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。


(事業主等の努力)
第六条 事業主は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。


2 学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいい、幼稚園及び特別支援学校の幼稚部を除く。以下同じ。)の設置者は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその設置する学校の児童、生徒又は学生(以下この項及び第十条第三項において「児童等」という。)の理解の増進に関し、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該学校の児童等の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。


(施策の実施の状況の公表)
第七条 政府は、毎年一回、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の実施の状況を公表しなければならない。


(基本計画)
第八条 政府は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画(以下この条において「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 基本計画は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解を増進するための基本的な事項その他必要な事項について定めるものとする。
3 内閣総理大臣は、基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。
5 内閣総理大臣は、基本計画の案を作成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
6 政府は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性をめぐる情勢の変化を勘案し、並びに性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね三年ごとに、基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。
7 第三項から第五項までの規定は、基本計画の変更について準用する。


(学術研究等)
第九条 国は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する学術研究その他の性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の策定に必要な研究を推進するものとする。


(知識の着実な普及等)
第十条 国及び地方公共団体は、前条の研究の進捗状況を踏まえつつ、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、国民が、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めることができるよう、心身の発達に応じた教育及び学習の振興並びに広報活動等を通じた性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する知識の着実な普及、各般の問題に対応するための相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 事業主は、その雇用する労働者に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための情報の提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の児童等に対し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるため、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境に関する相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。


性的指向ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議)
第十一条 政府は、内閣官房内閣府総務省法務省、外務省、文部科学省厚生労働省国土交通省その他の関係行政機関の職員をもって構成する性的指向ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議を設け、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うものとする。


(措置の実施等に当たっての留意)
第十二条 この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする。


附 則 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(検討)
第二条 この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 

全文は以上です。

 

最初に、この法律のことを知ったとき、
LGBTの当事者に対しては、なんの影響もないし、日本でG7が開かれる時期で、単に外面だけの法案かな、と思っていました。

でも、LGBTの理念を述べているだけのようにみえるのですが、よくよく読むと、この理念法を元に、様々な施策(国、地方行政、学校、会社で)の展開が可能のようですね。

 

対象は、性的指向及びジェンダーアイデンティティ、で、自分の場合はLGBTのうちのG(ゲイ)に該当するので、性的指向に分類されます。

今、自分はカムアウトしておらず、彼氏もしていません。回りの人も、うすうす気づいているとは思うのですが、特段の攻撃や差別もありません(不愉快なシーンもたまにありますが生活に支障が出るレベルではありません)。

 

ということで、当事者の一人としてこの法律はいらない、と個人的に思っています。余計なことをするな、という主張です。「LGBT」という言葉は1980年代後半から、アメリカ国内の活動家たちが使い始めたのだそうです。海外の考え方をそのまま、日本に持ち込まないで欲しい。日本の実態と合わないでしょ、と思うのです。

この法律の施行で、アメリカ的な活動家の動き(かつての#MeToo運動みたいな)が活発になり、ごく一部の人たちが権利擁護を叫ぶ、日本的でない動きが繰り広げられそうな気がします。

 

それと、例のジャニーズの性加害事件。
これは未成年者に対する酷い事件で、あってはならないことで、論外なのですが、
その行為に対する寛容さ(メディアを含めて、70年近く、そのことは知っていたけど言わなかった、みたいな)は、すこぶる日本的(=同性愛に対する寛容さ)であったように思います。こちらもBBCという外圧から始まりました。誤解を恐れずに言えば、それは、アングロサクソンキリスト教的な禁忌、道義からの指摘であったと思います。国連も巻き込んでの指摘(外圧)なのですが、これをどう日本的に処理してゆくのか、処理できるのか、注目しています。

で、すでに、LGBT法案は成立してしまいました。
そして、この法律は、具体的な施策と実行を求めています。
せめて、『日本的な施策と実行』が行われて欲しい、と思います。
※日本的な施策とは、ほとんどなにもしなくてもいい、ということと同義なのですが。

 

もう一度LGBT法案を考えてみる(終わり)