アイルランドを調べているAkiです。
前回は、宗教について調べました。
アイルランドは、キリスト教で、カトリックの国でした。
カトリックであるがために、隣の強大なプロテスタント国であるイギリスから圧迫を受け続けたのでした。
今回は、『言語』についてです。
彼氏の国のベトナムとも比べてみます。
アイルランド憲法で、第1公用語はアイルランド語(インド・ヨーロッパ語族ケルト語派に属するゲール語の一つ)、第2公用語は英語と規定されているそうです。しかし、日常的には英語が普通に使われていて、アイルランド語はイギリスの植民地となった16世紀以降、約400年に渡る支配により英語にとって代わられ衰退しました。その後、19世紀以降の独立運動の中でアイルランド語の復興が図られ、近年は政府による積極的なアイルランド語復興政策がとられるようになり、政府による文書や街中の標識などもアイルランド語と英語の2言語で表され、2007年にはアイルランド語はEUの公用語に追加され、テレビやラジオなどでもアイルランド語による放送が行われるようになりました。今では国民の10%がアイルランド語を日常的に使用し、15歳以上の39%が自らをアイルランド語話者であると分類しているそうです。でも、国語として十分に普及しているとは言い難いのが現状だそうです。
しかし、元々、アイルランド語を使っていたのに、イギリスの植民地になったおかげでほぼ英語しか話さなくなってしまった。そんな国なんですね。
アイルランドで母語であるアイルランド語が話されている割合。割合が低い北部はイギリス領の北アイルランド。アイルランド語以外では圧倒的に英語が話されている。
イギリスの影響、恐るべし、です。
言語は、アイルランド語ではなくイギリス英語を話すようになったのですが、宗教はカトリックを貫きました。もし、カトリックからプロテスタントに改宗していたら、もう完全にイギリス(UK)に同化していたと思います。アイルランドが、今もなお、アイルランドでありえたのはやはり宗教の力が大きい、ということだと思います。
一方、ベトナムですが、もちろんベトナム語を使用しています。
ベトナム語は日本語や朝鮮語と同様に漢字文化圏にあります。ベトナム語の辞書に載っている単語のうち70% 以上が漢字での表記が可能だそうです。対応する漢字が無い場合は、漢字を応用した独自の文字チュノム(Chữ Nôm )を作り、使っていました。やはり隣の大国、中国からの影響が大きい。でも、影響を受けながらも、その中で独自の言語を形成していったようです。
で、17世紀に入ると、カトリックの宣教師アレクサンドル・ドゥ・ロードがローマ字表記「チュ・クオック・グー(Chữ Quốc ngữ ) 」を考案し、ベトナムが、フランスの植民地になると、これが急速に普及しました。チュ・クオック・グーはフランスによる「ベトナム文明化」の象徴として「フランス人からの贈り物」と呼ばれたそうですが、独立運動を推進した民族主義者は全てチュ・クオック・グーによって教育されたため、今、使われているローマ字表記のチュ・クオック・グーが独立後のベトナム語の正式な表記法となったのでした。今、それがベトナムの街中にあふれています。
最初は中国の影響で漢字、ついでフランス植民地化により、ローマ字表記のチュ・クオック・グー、言葉そのものはベトナム固有なのですが、表記は時代によって、強国の影響を受け、変化してきました。
ベトナムの場合、隣に強大な中国があり、アイルランドとは違って、その宗教/儒教文化を受け入れ、かつ1000年に及ぶ中国支配を受けました。しかし、言語は、独自のものでした。決して、隣国の言葉を受け入れることはなかった(表記はそのときどきで変えてきましたが)。
こんなことを調べたりしていると、なんとなくですが、アングロサクソンの帝国主義(侵略の仕方)と、中国の中華思想による覇権主義(権力膨張の仕方)に違いがあるように思えてきます。アングロサクソンはもちろん、イギリスのことです。そして超大国であるアメリカもそうです。
16世紀以降、イギリスがアイルランドにしたこと、それは今でも世界の中枢にあるアングロサクソン、WASP(白人、プロテスタント)の根底にあるのではないかと思い、アジア人である自分は、少し肌寒くなるのです。
アイルランド ~言語~(終わり)