技術者のAkiです。
自動車業界、100年に一度の変革の時期と言われています。
その変革の一つにEV(電気自動車)があります。それはガソリンを燃やしてエンジンを駆動させて車を動かす、という旧来のシステムから電気でモーターを動かすという変化です。電気自動車はその流れに乗って急ピッチで開発が進められています。
それで、ガソリンエンジン車はなくなってしまうのでしょうか?
そんな観点でEVについて考えてみます。
EVは、ガソリンをつかわないので環境にいい。ガソリンスタンドではなく家で簡単に充電できるのもメリットですね。でも、一回充電して何日もつか。たぶんスマホと同じレベルだと思います。ということは頻繁に充電が必要ということです。
また、充電する電気についてですが、現在、電力は下図に示したとおりで、約8割が化石燃料(石炭、石油とかガス)から作られています。
ということは、EVは排気ガスが出ないので、その分、環境にはいいのですが、最近、うるさく言われている二酸化炭素削減には効果がない、ということです(使う電気の元が石油なので、その電気を作るために二酸化炭素を排出している、ということになってしまいます)。
また、EVのために新たに必要とされる電力ですが、年間で約1000億kWhだそうです。日本の電力消費量は、年間でおよそ1兆kWhということなので、10%ほど電力消費量が増えることとなるそうです。10%ならなんとかなりそう。
で、結局、EVのメリットは・・・
・排気ガスが出ない、ガソリン臭くない
・ガソリンスタンドに行かなくてもいい(家で充電できる)
・エンジンではなくモーターなので静か、振動もなし
逆にEVのデメリットは・・・
・CO2削減には寄与しない(電気はガソリン/石油から作るので)
・・・環境に貢献してる!!って強くアピールできない
・充電に時間がかかる(寝ている間でしか充電できない)
・頻繁に充電が必要(遠出ができない)
・コストが高い(車両)、電気代がかかる
ということは、以下の場合にだけ成立する乗り物ということになります。
・ごくごく小規模での普及 (使う電気は再生エネ/風力、太陽光だけ)
・地域限定での使用 (遠出はしない)
・象徴的な役割を持たせる (お金をかけられる)
・政治的な意図がある場合 (CO2削減に寄与)
実にややこしい乗り物です。
今年、1月に明らかにされたトヨタの WovenCity構想(静岡県の御殿場に建設される未来都市)。これは、まさに電気自動車が成立するであろう要件を満たしています。
使うのはトヨタの社員だけ。御殿場の中の一地域のみ。お金持ちのトヨタが主導、宣伝効果ばっちり。ついでに政府や県も応援。
トヨタの社員は地域限定で未来を経験できそうですが(実際社員にすれば迷惑なことかもしれませんが)、我々はまだずっと先。
EVが本格普及するためには、結局、急速充電ができて、かつ長距離走行が可能な高容量のバッテリーがないとダメなんですね。
あと、ガソリン車ではできなくてEVだからできる、ということがないとダメだと思います。例えば、電気代がガソリンの半分の値段になるとか、クルマ/EVがネットやSNSの世界で必須のものに変身?するとか(スマホみたいなイメージですけど)。
ということで、まだまだ、ガソリン車は使われ続けるとAkiは思います。
EV(電気自動車)のはなし(終わり)