Tu&Aki’s Couple Life

ゲイが考える『ベトナム』『アジア』『海外旅行』『日本』『仕事・働き方』そして『大事な彼氏』のこと

ベトナムと漢字

日本人ゲイのAkiです。

 

ベトナムと漢字、
まずベトナムの地名について少し調べてみました。
首都はハノイ。漢字で書くと『河内』です。

 

tuaki.hatenablog.com

 

南部の大都市、ホーチミンは、『胡志明』、これはベトナム戦争後につけられた名前で人名に由来します。旧名のサイゴンは『西貢』。中部のダナンは『沱㶞』、これは完全に当て字ですね。北部の港町のハイフォンは『海防』。夏に旅行した中国国境の町、ラオカイは『老街』。こうして見ると、北部は漢字語源が多いのに対し、南部では当て字が多いようです。やはり、北部は中国の影響が大きいということでしょうか。

一方、人の名前は、というとこれは完全に漢字に由来するそうです。結婚すると夫婦別姓となるのですが、その子供は父の姓となります。 典型的な人名(姓)は、阮(Nguyễn、グエン)、陳(Trần、チャン)、黎(Lê、レ)などで、これだけで全体のほぼ60%となるそうです。

 

ベトナム人彼氏のTuに、Tuの名前って漢字でどう書くの?と聞いたことがあります。

”全然知らない”、”お父さんに聞いてみる” 

と言って、しばらくすると、Tuのお父さんが書いた漢字の写真(毛筆で書かれた達筆の文字)が送られてきました。へえええ、Tuの名前はこうなんだ。彼氏の名前(漢字)〇〇〇の3文字、を初めて知りました。お! かっこいい名前。

”で、僕の名前の意味はなんなの?”
と興味津々のTuが自分の名前(漢字)の由来を聞いてきました。

英語で説明するのは面倒くさくて大変でしたが適当に答えておきました。

ベトナムの町で漢字を目にすることはほぼなく、 Quốc Ngữ / 国語だけです。なので漢字を知らなくても、まったく不自由しません。したがってTuのような若い世代の人は漢字は、外国である中国の言葉という認識しかないようです。一方、彼のお父さんの世代は、まだ若い頃に漢字を習う機会があったので、今でも書けるのだと思います。Quốc Ngữ / 国語が正式に採択されたのが1945年だそうですから、しばらくは両方使われていたということでしょうか。

彼氏の名前を漢字で知って、親近感がさらに沸きました。

”で、Akiの名前は漢字で書くとどうなの?”、とTuが聞いてきました。

”〇〇〇〇だよ”

”ええええええええええ、4文字なんだ!”

Akiの名前は日本ではありふれてますけど、ベトナムでは4文字の名前は珍しいようです。例えば、阮文恵(Nguyễn Văn Huệ、グエン・ヴァン・フエ)という名前、3文字ですね。阮が名字で、文が間の名、恵が名前です。決して文恵さんではないのです。彼氏のTuというのも最後の3番目の名前の部分だけです。彼氏と付き合い始めて、すぐに、『Tu』と呼んで、と言われました。名字(姓)で呼ぶことはめったになく、単に名前で呼ぶのが普通のようです(呼び捨てです、年齢に差があってちょっとかしこまるとAnh Tu/Tu兄さんとか、Em Tu/Tuちゃん、とかになりますが)。また、以前、日系の会社で働いていた時に『Tuさん』と呼ばれていたそうで、この『さん付け』さえもいやだったそうです。

 

さて、ベトナム(Việt Nam)の国名 、漢字で書くと『越南』です。1802年ベトナムを統一した人物は阮朝の阮福暎(嘉隆帝)で、当時、朝貢関係にあった中国の清から1804年に越南国王に任ぜられ『越南』を正式の国号としたのが始まりだそうです。もともと越族という民族が中国長江の南方にあり(呉越同舟の越です)、ベトナム人は自らを越の子孫とみなし、「南の越の国」ということで 「越南」となったのだそうです。ただ、ベトナム人はこの与えられた国号を良しとせず、中国の目をかすめて「南越」(越の南の国)や「大越」(大きな越の国)などの号を使ったりしました。
※『南越』だと、越という国の南、という意味になり、中国とベトナムの間に越の国の存在を認めることになり、中国にとってはおもしろくありません。

あと、今、きなくさい雰囲気が漂う『南シナ海』。英語で言えばSouth China Seaで、要するに『中国の南の海』あるいは『南の中国の海』ですが、ベトナムでは決してこうは言いません。単に『東海』(Biển Đông、ベトナムから見て東の海)と呼んでいます。また、インドシナ半島東部をラオスからベトナムにかけて走る山脈、『安南山脈』ですが、これは中国が用いはじめた名称で、現在のハノイに設置した安南都護府に由来する名前だそうです。なのでベトナム人はこの名称を使わず、チュオンソン山脈(Dãy núi Trường Sơn、長山山脈)と呼んでいます。

中国との駆け引きは、漢字や地名でも、続いているようです。

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ベトナムと漢字(終わり)