Tu&Aki’s Couple Life

ゲイが考える『ベトナム』『アジア』『海外旅行』『日本』『仕事・働き方』そして『大事な彼氏』のこと

ノーベル賞(1)

理系のAkiです。

 

先日、ノーベル賞の発表がありました。

自分も理系で、研究者の端くれでしたので、ノーベル化学賞とか物理学賞とかで誰が受賞するのか興味がありました。日本のメディアでは、今年も日本人が受賞するかも、みたいな報道がされていて、自分も密かに期待してました。下馬評に上がっている日本人科学者の中には、自分も名前を聞いたことがあったり、学会でお見かけした方もおられましたし。

 

それで、

まず、物理学賞・・・
結果は残念ながら、日本人ではなく、アメリカ人(プリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授)とカナダ人(トロント大学のジェフリー・ヒントン教授)のお二人。

その業績は・・・

人間の神経回路を模倣した「人工ニューラルネットワーク」を使って、物理学の理論から画像やパターンなどのデータを保存し、再構成できる「連想記憶」と呼ばれる手法を開発し、この手法によって、不完全なデータから元のデータを再現できるようになった。

また、この手法を統計物理学の理論などを使って発展させ、学習した画像などの大量のデータをもとに可能性の高さから未知のデータを導き出すアルゴリズムを開発した。

2人が開発した手法は、現在のAI=人工知能の技術の中核を担う「機械学習」の基礎となり、その後「ディープ・ラーニング」など新たなモデルの確立につながった。

 

www3.nhk.or.jp

 

次は、化学賞・・・

アメリカ人とイギリス人(ワシントン大学のデイビッド・ベイカー教授とアメリカのIT企業、グーグルのグループ会社で、ロンドンに本社のある「DeepMind」(ディープマインド)社のデミス・ハサビスCEO、それに研究チームのジョン・ジャンパー氏の3人)が受賞しました。

その業績は・・・

まず、コンピューターを使ってたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸から他のたんぱく質とは異なる全く新たなたんぱく質を設計することに成功した。

ついで、「アルファフォールド」と呼ばれるAI=人工知能モデルを開発した。
たんぱく質は種類の異なる複数のアミノ酸がつながり、さらに複雑に折りたたまれることによって機能するものの、その立体構造の解明は長年にわたり、難問とされてきた。「アルファフォールド」はすでに形がわかっているたんぱく質アミノ酸のつながり方をAIに学習させることで、折りたたまれた状態の立体構造を高精度に予測することができ、これまで、多くの研究者が特定した2億個のたんぱく質の構造を予測することに成功した。

www3.nhk.or.

 

ありゃあ、と思ったのはAI技術ノーベル賞を席巻したことでした。特に、化学賞が、Googleに与えられた、というのは大きな時代の変化を感じさせるものでした。

 

これは、すでに今の時代がAI技術で成り立っていて、その成立の功績に対して賞が与えられたということで、従来、日本が得意としてきたナノテクやモノづくり領域は完全に過去のものになったようですね。

 

実際、AIに関する国別論文数を見てみると、元々、日本は少なかったのですが、最近は韓国にも抜かれ、10位なのだそうです。

完全に、この領域では負けてますね。

 

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00259

 

 

こういうのは我々、日本人は不得意なんですかね。(基礎技術を学んでそれを地道に改良してゆく、というのが日本人の自慢のサクセスストーリーだった)

 

ところで、AI、人工知能(Artificial Intelligence)とは、以下のように定義されるそうです。

・・・『計算(computation)』という概念と『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学(computer science)の一分野で、言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせる技術

これまで人間にしかできなかった知的な行為(認識、推論、言語運用、創造など)を、どのような手順(アルゴリズム)とどのようなデータ(事前情報や知識)を準備すれば、それを機械的に実行できるか」を研究する分野・・・

 

これは、今まで行われてきた基本的な意味でのサイエンスではなく、

「まったく新しい概念の創出」、あるいは「哲学的な新しいアプローチの創出」

・・・と理解すべきなのかもしれません。

 

日本人が地道にやってきたのは「改良、改善」。
これとは、まったく違うことは明白です。

 

前回の日本人受賞は、2019年の吉野 彰さん(リチウムイオン二次電池の発明でノーベル化学賞)。その活動時期は、1980~1990年代、今から30-40年前のことです。

 

この時代が、日本の技術開発のピークだったのかもしれません。実際、最近の論文を調査していても、日本の科学技術の衰退は、目も当てられません。ほとんどが海外の研究者によるものです。

 

そんなことを考えると、

これからは、研究においても新しい概念の創出が求められる、研究の取り組み方にも変革が必要とされている、これを認識すべき。

と、いうことでしょうか?

 

ノーベル賞(1)(終わり)