Tu&Aki’s Couple Life

ゲイが考える『ベトナム』『アジア』『海外旅行』『日本』『仕事・働き方』そして『大事な彼氏』のこと

仕事のこと

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ベトナムの最高紙幣、50万ドン/2500円)


日本人ゲイのAkiです。

Akiは、日本で生まれて、日本に住んでいます。普通の会社員で、技術者。今の会社には結構長いこと勤めています。技術者なので海外勤務になることもなく、また海外出張もほとんどなく日本国内で平和に仕事をさせていただいています。そして休日出勤もなく、あたりまえですが彼女もなく、なので長期休暇にはベトナムの彼氏と会うことができています。一方、彼氏のTuはハノイの大学卒業後、最初に就職したのは日系の会社でしたが、給料が安かったので一年余りでベトナム企業に転職しました。ハノイ近郊には工業団地があって、ここに日本や韓国などから多くの企業が進出しているのです。しかし人件費は安く、大学卒でおよそ300-400ドル/月。Tuの話によればハノイで生活するとなると年間で7000ドルはかかる(月に直すと600ドル弱)そうです。そうだとするとこの新卒の給料では生活はかなり厳しいということになります。実際、若いベトナム人は友達とアパートをシェアして、自炊生活をすることで出費を抑えているようです。日系企業に勤めていてもTuの生活は厳しかったと思います。だから転職はやむ負えなかったのかもしれません。

転職後にTuは海外勤務となり、カンボジアバングラデシュで仕事をしていました。仕事の内容は詳しくはわからないのですが、SE(システムエンジニア)の顧客担当をしているようです。文系なのに大学を出てから熱心に勉強してそんな仕事をしています。しかし、その後、別の企業に引き抜かれ、さらに今、また別のシンガポール系企業(ハノイ支店)に勤めています。ということは、今度の会社で4社目です。ほぼ一年単位で会社を変わっている計算になります。めまぐるしいと思うのですが、これが新興国のスピードなのかもしれません。一応、ベトナムにも退職金制度があるそうなのですが、ほとんど支払われていないのが実態のようで、長く勤めるメリットはなさそうです。Tuはよく友達と連絡をとって情報を仕入れています。どこの会社で、どのくらい給料を出すのか、待遇はどうか。そして自分のキャリア形成にどれだけ役立つのか、せっせと情報を集めています。それとよく勉強してます。将来の自分の為に語学などの勉強は非常に熱心です。これはAkiが感心するところです。

たまにTuが、転職についてAkiに相談することもありますが、

Akiが、石の上にも3年だよ、と日本人目線で言うのですが、

”うん、わかった。でも日本とベトナムは違うし、自分のことだから自分で決める”
ということになって結局転職するのです。

”日本人はいいよね、給料高いし” 
とTuが皮肉っぽく言います。

確かにベトナムと比べれば高いけど、日本の物価を考えたら日本で生活するには十分じゃないよ、

”ふうううん、僕は日本人の給料でベトナムで暮らしたい”

Tuの状況や気持ちはよくわかりますが、つくづくベトナム人はお金が大事で、仕事の内容は二の次なんだなと思います。無理もないです。将来はどうなるかわかりませんし、目先の生活とお金が大事なのです。ベトナムはそんな国のようです。日本では最近はどうかわかりませんが、以前は高い貯蓄率を誇っていました。将来何があってもいいようにお金を定期預金にして銀行に預けました(最近は預けてもろくに利子はつきませんが)。ベトナムは、と思って貯蓄率を調べるとやはり低いです。ほかの東南アジアの国と比べても低い。銀行の利子は高いんですけどね(7%)。
それとギャンブル、ベトナム人はギャンブル好きです。ベトナムでのサッカー人気はすごいのですが、その際、職場などで必ず賭けが行われてす。胴元がいてメールで社員に連絡するそうです。カンボジアベトナムの国境付近(カンボジア側)にバベットという町があってここにはカジノがあるそうです。お客は圧倒的にベトナム人。ギャンブルはベトナムではさすがに非合法なので、ベトナム人が大挙して国境を越えてやってくるそうです。

ここは本当に社会主義国なんでしょうか?

彼氏のTuは、というと、
”僕はギャンブルは嫌いだからやらない”ということなので、ほっとしてます。
Akiも好きでないからです。

またベトナム人は自分の国の通貨ドン(VND)をあまり信用していません。そのため、かつての敵国アメリカのドルをかなり持っているようです。Tuも海外駐在している時に支給されるドルをせっせと貯めていました。

ベトナム人はある意味、刹那的なのかなとAkiは思います。

1975年にベトナム戦争が終わり、ついで1979年に中国との戦争(中越戦争)、さらにカンボジアへの派兵(カンボジア・ベトナム戦争、~1989年)。カンボジア派兵が終わってからまだ30年ということになります。戦争の記憶が風化するにはまだまだ短い時間だと思います。Akiはこの記憶がベトナム人の刹那的な思考の原因ではないかと思っています。戦争になったら、仕事もなくなるし、通貨の信用も落ちるし、今をいかにして生き延びるか、ということになるからです。

仕事はお金を稼ぐため、スキルを磨いて、いい職場を見つけて、たくさんお金をもらう。日々、こんな感じのようです。シンプルですね。

一方、日本はどうなんでしょう?確かに、お金を稼ぐために働くのは間違いないのでしょうが、ベトナムのような軽やかさはないように思います。少しでも高い給料の会社があれば、さっさと転職。

日本だとこうはいきません。短い期間での転職は明らかに不審の目で見られます。この人は組織の中でなにかあったのではないだろうか?疑念を持たれて不採用となるのがおちです。

また、職場によってはパワハラ、セクハラのような問題もあります。Akiの会社でも時折、パワハラが問題になることがあり、若い人の中には会社に出てこなくなることもあります。いわゆるメンタルヘルス、ストレスの話です。
職場が明るくない。朗らかに、勢いよく、というのが今の日本の会社に欠けているように思います。Akiも、時折、息が詰まるような感覚に陥ることがあります。

閉塞感。 これを強く感じますね。

だから、海外に出たときの解放感はたまりません。
彼氏が外国人でよかった、と思う瞬間です。

それでTuの影響かどうかわかりませんが、Akiも転職を考え始めてしまいました。

あっけらかんとしたベトナム、Akiの転職先の候補の一つなのです。

仕事のこと(終わり)