(ラオスの少年僧、家族と一緒)
(ラオス、ルアンパバーンの町、フーシーの丘から臨む)
日本人ゲイのAkiです。
Akiは旅行が好きなので、思い立ったら海外に行きます。
それで、以前から気になっていたベトナムのお隣ラオスに行ってきました。
2016年の8月のことです。
行く前に村上春樹が書いた『ラオスにいったい何があるというんですか? 』(文春文庫)
を読みました。しかし、実はこの本、ラオスについてあまり書かれていません。
いろいろなところに滞在して、そこで見聞きしたことを描いています。
最後にラオスの古都ルアンパバーンでの滞在について少し書いている程度です。
村上はラオスに入る前に、ベトナムに滞在して、これからラオスに行くんだ、と
言うと、『ラオスにいったい何があるというんですか? 』と言われたという。
たしかにラオスという国、よくわかりません。
なにやら奥深いところにある国、というばくぜんとした印象しかありません。
だから、日本人の場合、カンボジアと違ってビザがいらなくて楽なのですが、
少し、腰が引けるようです。
それでもまだ行ったことのない国への興味は抑えがたく行くことにしました。
今度の休みはどう? 一緒に行ける? と聞くと、
”タイのバンコクなら会えるよ”
バングラデシュのビザ更新のためにTuはベトナムに一時帰国するので、
その帰りにバンコクでトランジットします。なのでそのトランジットの期間を長めにしてもらってバンコクで会うことにしました。
一方、Akiはラオスの古都ルアンパバーンを目指しますが日本からバンコク経由の便を使うことにしました。
タイのスワンナプーム空港に着き、イミグレを過ぎ、ターンテーブルのところで自分の荷物を待っていると、ひょいとTuが現れました。
”Akiの飛行機をチェックしたら、ここだとわかったから待っていた”
などとやさしいことを言ってくれます。
やあ、久しぶり
チャットは毎日やっているのですが、実際会うとうれしい。
この場面では固く抱き合う、というのが普通なのかもしれませんが
恥ずかしいから私たちはしません。
久しぶりの再会なのですが、両方ともぎこちない。
似たもの同志なんです。
早速、空港からタクシーに乗ってバンコク市内のホテルに向かいました。
タクシーの中では、運転手に気づかれない様にしてずっと手を握り合っていました。
3日ほどですが彼氏と一緒です。
翌日は、一応バンコク観光です。
なんの計画も立ててなかったので、適当に名所めぐりをしました。
寺院とかチャオプラヤー川とか、チャイナタウンとか。
しかし、タイのお寺の金ぴかにはどうしてもなじめません。
尊い仏様なので、きれいな方がいいのでしょうが、やはりAkiは古色蒼然とした日本の
お寺にある大仏とか、観音様の方が好きです。
なぜなんでしょう?
日本の京都にも金閣寺があるのですが、金ぴかなのはこれくらいのもんでしょう。
ほかの有名無名のお寺や神社は、ほぼ木造で落ち着いた色調です。
特に色も塗られていません。
(バンコクの寺院)
これは日本特有のわびさびの文化の影響なのかもしれません。
山紫水明の国の日本にはそのままの色の木造建築がよく似合います。
借景となる山々の木々と建物が混然一体となって、この上ない落ち着きを醸し出しています。
と、日本人であるAkiはなんの疑問もなく思うのですが、どうでしょう?。
(バンコクの猫)
町を歩くと、いろいろ目に入ってきます。
バンコクの猫は、日陰をたどって歩き、日陰で寝ています。
ぜいぜい息をしながらせかせか歩く犬よりも悠然としています。
市内には運河などがあるのですが、ワニが泳いでいました。高速道路のすぐ下です。
Tu!! ワニ、ワニがいる!!!!! とAkiが叫ぶのですが、
Tuはあまり興味ないようです。
珍しくない???これが普通なの??
(バンコクの寺院、仏様の足の裏も金ぴかです)
夜は、路上の屋台のような場所で夕食をとることにしました。
Akiたちは、エビ入り焼き飯(カオパックン)とビールを頼みました。
でもなかなか出てきません。
だんだん目の前のTuの顔色が変わり始めました。
なにかを我慢しているみたいです。
しかし、Tuが突然、店員に文句を激しく言い始めました、
”今すぐ食べたい!!!””
だだをこねてる子供のようです。
Tuは空腹になるとダメです。
理性がなくなる。
この彼氏には食べ物をがまんさせてはならない、
と、その時、Akiは学習したのでした。
彼氏との楽しい3日間はあっという間に過ぎました、
また二人で空港にもどり、お互いの出発までコーヒーショップでだべったり、
買い物をしたりしてすごし、違う飛行機に乗り込みました、
Tuはバングラデシュのダッカ行き、Akiはラオスのルアンパバーン行きです。
Tuがうらめしそうに、言いました。
”僕も一緒に行きたい”
そんなこと言ったって明日からバングラで仕事でしょ。
Akiは人気のいないところでTuを抱きしめました。
さあ、ラオスです!
古都ルアンパバーンはラオスの山岳地帯にある盆地です。首都ビエンチャンからメコン川を約 400 キロメートル上流にさかのぼったカ川との合流場所に位置する人口約 60,000 人の小さな町です。
(ルアンパバーンに到着した飛行機)
プロペラ機でバンコクから2時間ほどのフライトです。
ラオスの歴史をひも解いてみました。
ラオスの歴史は中国南西部にあったナンチャオ王国が南下し、この地に定住者が現れた時代に始まるそうです。王国滅亡後の1353年にラーオ族による統一王朝ラーンサーン王国が建国されました。その後、18世紀に入るとヴィエンチャン王国、ルアンパバーン王国、チャンパーサック王国の3国に分裂し、タイやカンボジアの争いに巻き込まれ、戦乱が続きました。
19世紀半ばになるとフランス人がインドシナ半島に進出し、ラオスはフランスの保護国となり、フランス領インドシナに編入されてしまいます。 第二次世界大戦中は日本によりフランス領インドシナは解体され、ラオスは1945年4月8日に仏印に進駐した日本の協力下で独立を宣言します。大戦後の1946年に第一次インドシナ戦争が勃発し、1953年10月22日、フランスからの完全独立を果たすのですが、独立後ラオスでは内戦が長期にわたり続きました。またベトナム戦争にも巻き込まれ、北ベトナムによる南ベトナムへの補給路にも使われてしまいます。1975年に南ベトナムの首都サイゴンが陥落すると、同年12月にラオスは王政の廃止を宣言。社会主義国のラオス人民民主共和国が成立し、やっと今日のラオスとなるのです。
ルアンパバーンは社会主義国となる前、王制が施かれていた時代の王都なのです。
歴史がざっくり過ぎるのですが、記録のない時代があって、その当時ラオスがどういう状態だったのかすらわからないようです。しかし、内陸国であるラオスは絶えず周囲から圧迫を受けながら、存在してきた国のようです。
空港からタクシーでホテルに向かいました。
ホテルはメコン川沿いにあります。
(ルアンパバーンのホテル)
(ホテルからメコン川を見る)
(メコン川)
雨期だそうでメコン川が増水してます。
ホテルで朝食は出るのですが、夕食をとるときは、このメコン川を渡って対岸のレストランまで行く必要があります。船でゆくのです。
最初は面白かったのですが、外出するたびに船を使わなければならず面倒なので、
レンタサイクルで観光をすることにしました。
ルアンパバーンの町。
雰囲気はいいですね。
ベトナムと同様、フランス植民地時代の影響なのか、コロニアル風で街並みにも風情があります。観光客もやはりフランス人が多いようです。
(ルアンパバーンの町)
小さな町なので自転車か歩きで十分です。
途中、旧王宮があり、内部も見学することができます。
(旧王宮)
それなりにいろいろあって興味深いのですが、どれも小ぶりです。
ガイドブックに書いてある桃源郷という言葉がぴったり。
しかし、せこい
日本円をラオスの通貨キップに両替しましたが、1円が80キップ。
換算が難しい。見事にだまされました。
少額にしておいたので被害は少なくてすんだのですが。
それとレンタサイクルのデポジット、
ホテルで自転車を借りたのですが、借りる際にデポジット(預託金)を払います。
これは自転車を使い終わった時に返金されるのですが、全部返してくれず、
”今、細かいお金がないんだ、明日でいい??”
と言われました。
いいですよ、明日で
と人の好いAkiは言いました。
しかし翌日は知らん顔です。
聞いても、なにそれ?みたいな。
結局わずかな金額でしたのでそのままにして、ことを荒立てないような大人の対応をAkiはしました。
やっぱり、せこい
確かにいいところなのですが、このせこさの為に、ときどき気分が害されます。
それと、どういうわけかこのラオスの旅、記憶が途切れ途切れしかないのです。
同じ時期に訪れたタイやベトナムの記憶は鮮明なのですが。
隠者の国、隠れ里、こんな言葉がラオスにはぴったりです。
記憶にも残らないんですから。
『ラオスにいったい何があるというんですか? 』
Akiだったらどう答えたらいいのでしょうか?
そりゃあ、いろいろあったよ。
でもそれだけ。
『行ってみたけどなにもなかったよ』と答えるのが正解のように思えました。
たぶん、ラオスは周りの国から隠れて、ずっとひっそりとしていたい国だと思うので。
ラオスの旅(終わり)