Akiです。
今回は、今回も? 固い話です。
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に関連した話。
TPP:東アジアと米州をつなぐ経済的連携の枠組み。例外品目のない自由貿易協定で,物品の貿易だけでなく、投資やサービス,労働、知的財産、政府調達など幅広い分野に及び、日本が主導して協定締結を推進した。
このTPPに参加している国は、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール及びベトナムの合計11か国です。
よくよく考えると、この11か国中、社会主義国はベトナムのみです。
※ベトナムの正式名称は、ベトナム社会主義共和国で、依然としてベトナム共産党による一党独裁体制下にある。最近、TPPにイギリスも加入したので加盟国は12か国となりました。
考えてみれば、自由貿易協定に社会主義国が参加している、参加できている、ということが不思議なことです。
ベトナムには彼氏がいて、ごく普通に、なんの違和感もなくつきあっていて、その彼氏もごく普通にハノイで会社員をしていて、日本と大差ない経済活動をしています。だから、日本とは比較的良好な関係にあるベトナムがTPPに参加しても、別段の違和感はなかったのですが、よくよく考えてみれば、社会主義国がよくTPPに参加できたな、と思ったのです。
ベトナムがTPPに参加した理由は、主に以下の3つだそうです。
経済効果への期待:ベトナムは輸出拡大と外国投資誘致を目指し、米国などの大きな市場へのアクセスを得ることができると考えました。特にアパレル製品などの主力輸出品目に関して、TPPの関税削減は大きなメリットでした。
安全保障上の懸念:ベトナムは中国との貿易依存度が高く、南シナ海の領有権問題も抱えていました。TPPによって米国との貿易を強化し、中国への経済的な依存を軽減することができると考えました。
経済改革の必要性:ベトナムは2008年以降、マクロ経済の不安定さや国有企業の経営失敗などに直面しました。TPPによる国有企業や労働などの分野でのハイレベルなルールへの適合は、改革を推進する外圧として利用できると考えました。
これらの動機が強かったため、ベトナムはTPPにおける厳しい交渉条件や国内調整にも耐えることができました。また、共産党一党体制であったことや、国民や産業界からの反対が少なかったことも、合意に至るプロセスを容易にした要因だったのだそうです。
しかし、その一方で、社会主義国としての"痛み"も担うこととなりました。具体的には、労働領域において、労働者組織(労働組合)の設立や活動にかかわる要件を緩和せねばならず、社会主義国特有の国有企業については、非商業的援助の禁止や他締約国の企業や物品・サービスに対する無差別待遇の付与なども定めらました。
要するに、会社員が組合を組織して、ストもできるし、国有企業も特別扱いしない、ということですね。一党独裁の社会主義国ではまったく考えられないことです。
その”資本主義化"において、現状、大幅な適用除外も認められ、ぎりぎり、TPPに参加できたようです。
今、世界には5つの社会主義国があります。
それは、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバです。
ベトナムは、中国と距離をとり、対中国の安全保障の枠組みに入るために、TPP加入したようです。国の存続のためには、社会主義からの離脱も辞さない、そんな覚悟も感じさせます。
ベトナムとTPP(終わり)
補足)日本はベトナムと防衛装備品技術移転協定も締結しています。これは、日本と他国との間で、防衛装備品や技術の共同開発・生産や安全保障・防衛協力のために、防衛装備品や技術の移転を行う協定のことだそうです。日本は、ベトナム以外に、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、インド、オーストラリア、アラブ首長国連邦(UAE)と締結しており、やはり、社会主義国はベトナムだけです。