日本人ゲイのAkiです。
週末の休みの日、Akiは散歩をします。毎週の日課になっていて、川沿いの堤防の上を歩いたり、密集した民家の間の小さな路地を歩いたりしています。だいたい、ルートは決まっているので、なんとなく行きかう人と挨拶するようになっています。人間だけでなく猫もそうです。Akiは自分も猫を飼っているので、散歩していて猫を見かけると、ついうれしくなって近寄って行きます。
たいていの猫は警戒心があって、すぐ逃げてしまうのですが、一匹だけはいつもAkiにすり寄ってきます。Akiの前にきて、ごろんと横になってお腹を見せるのです。警戒心ゼロです。 それでお腹をなぜてやると至福の表情をします。
(散歩道の猫) ※猫の写真を撮るのは本当に難しい、実際はもっとかわいい
ほかにもう一匹いるのですが、こちらは近寄ってきません。少し離れて様子をうかがっています。
なぜこの猫だけがAkiに近寄ってくるのか不思議でした。あるとき、老夫婦の家の前で、エサをもらっているのを目にしました。この方たちが飼っているんだとわかりました。たぶん、ものすごくかわいがられていて、警戒心がまったくなくなってしまったのでしょう。納得しました。
しばらく経ってから、また同じ道を歩いているとお葬式と出くわしました。あの老夫婦の家です。お二人のうち、どちらかが亡くなったようです。そのあと、その家の引き戸は固く閉ざされていて人の気配がしなくなりました。
でも猫は変りません。なにごともなかったように寝転がったり、毛ずくろいをしていました。これからは、野良猫として生きてゆくだけさ。そんなふてぶてしさを感じました。少し心配しましたが大丈夫のようです。
犬と違って猫は人に頼りません。また、しっぽを振って甘えたり、人の顔色をうかがったりすることもありません。猫は猫として生きてゆくのです。
Akiはそんな猫の生きざまに惹かれます。
猫の話(2)おわり