てくてく散歩するAkiです。
天気もいいし、静岡県の浜松市内をきょろきょろしながら歩いています。
お寺がありました。
その幟に『黒衣地蔵尊』の文字。
黒い衣のお地蔵さま・・・ちょっといわれを調べてみました。
「勘右衛門」と呼ぶ声が聞こえました。
案内役として先頭を歩いていた勘右衛門は、「お殿様、何かご用事でしょうか」と後ろを振り返りましたが、お殿様は黙ったままです。
しばらく歩くと、また「勘右衛門」と呼ぶ声が聞こえてきました。どこから声がしたのか、家来も一緒になって捜しました。
すると、きらきら光る稲が見つかりました。不思議なことがあるものだと思っていると、お殿様が掘って調べるように命じました。稲の根元を掘り続けていくと、真っ黒いお地蔵様が出てきました。
勘右衛門は、お殿様の許しを得て家に持ち帰り、供養しました。その夜、勘右衛門の枕元にお地蔵様が現れ、「勘右衛門、私を萬福寺(今の浜松市中区八幡町)に祀ってもらいたい」と声をかけてきました。勘右衛門は早速、萬福寺の和尚様に事情を話し、お堂を建てて、お地蔵様を祀ってもらいました。
それから数年後のことです。勘右衛門は、1人の侍に呼び出されました。
「明後日の夕方、池川(今の下池川)の堤へ来てくれ」
勘右衛門は、新刀の試し斬りの相手に選ばれたのではと不安に思いました。急いで萬福寺に行き、「お地蔵様、どうかお助けください」とお願いしました。
指示通り、池川の堤に行くと、侍が飛び出してきました。「危ない」と思う間もなく、勘右衛門は斬られてしました。
翌朝、目を覚ました勘右衛門は、斬られた辺りを触りましたが、体も着物も、どこにも斬られた痕はありませんでした。お地蔵様が守ってくれたに違いないと思った勘右衛門は、萬福寺に駆け付けました。お礼を言おうとお堂にひざまずくと、目の前のお地蔵様の左肩から右脇にかけて刀傷ができていました。
「本当にお地蔵様が身代わりになってくれた。ありがとうございます」
黒衣地蔵は身代わり地蔵なんですね。
黒衣地蔵(終わり)