アジア好きのAkiです。
香港のはなし・・・のつづき。
空港のあるランタオ島から九龍半島へ、そのあと地下鉄で香港島に渡って、駅を出るとすぐ急斜面になっていて、その斜面にへばりつくように高層ビルが林立している。
それが香港。
で、その急斜面を屋外エスカレーターで登って、
その坂道の途中、狭い道の四辻に立つ自分。
どこの国の人なのか、よくわからない人達がたむろするバーがたくさんあります。
そこで軽くビールを一杯。
そのあとは地元ローカルのレストランで美味しい広東料理もどきを食べる。
そんな香港が好きでした。
で、どういううわけか手元にまだ、香港ドルがあります。
スタンダードチャータード銀行(渣打銀行)発行の10ドル紙幣です(価値は150円くらい)。
日本に帰ってきて中部空港で日本円に両替しようとしたのですが、この紙幣だけ断られました。
そんなおかしいでしょ、って言ってもダメ。
ほとんど偽札扱い、でした。
ということで行き場がない10ドル札はいまだに自宅の机の中。
香港のお金事情はちょっと複雑です。
紙幣の発行は日銀みたいな中央銀行ではなく、香港上海銀行(香港上海滙豐銀行)、スタンダードチャータード銀行(渣打銀行)、中国銀行 の3行が行っており、10ドル紙幣のみが香港特別行政区政府によって政府紙幣として発行されています。
で、自分が持っている10ドル札はスタンダードチャータード銀行発行のもので、今ではもう発行されてません。おそらく2000年頃のものだと思われます。前に香港を訪れたときにつかまされたものです。
その紙幣に描かれている絵柄ですが、螭吻(ちふん、鯉に似た瑞獣)。
「螭吻(ちふん)」。竜生九子(中国の伝説上の生物で、竜が生んだ九匹の子を指す)の一つです。螭吻は眺めることが好きで、常に建物の屋根にいて、口を開け、屋根の棟を飲み込む姿をしていることから、屋敷守り、魔除け、安居楽業の神獣といわれています。これは日本のしゃちほこの原型だそうです。
中国への返還前は、香港上海銀行とスタンダードチャータード銀行だけが通貨を発行していました。そして返還後、まもなく人民元が流通することになります。一国二制度が音を立てて崩れつつある今、通貨も含めて香港の特殊性は失われてゆきます。
そんな昔の香港が匂う10ドル札。
ちょっぴり感傷を誘います。
で、香港の現実。
先日、アグネス・チョウさんが国家安全法により逮捕されました。
反中国的な言動や行動をしたためです。
その逮捕は、中国共産党にとってなんの違和感もない、至極、当然なこと。
脅迫や拷問も日常茶飯事。
そんな国。
10ドル札に描かれた螭吻。
中国という魔物から、香港という家をずっと守ってきたように思えます。
これから中共の厳しい支配がはじまりますが、香港の若者を守って欲しい、と心から願っています。
昔の香港②(終わり)