Akiです。
ずっと前にメキシコに行ったことがあります。
以前も書いたのですが、アメリカから歩いて国境を超えてメキシコに入ると、景色が一変します。それはアメリカとメキシコの経済格差を露骨に感じる瞬間です。
日本から空路、アメリカのロスアンゼルスに飛び、そこからバスでメキシコシティーを目指しました。2泊3日のバス旅です。途中、何度か休憩はしますが、昼も夜もメキシコのでこぼこ道をずっと走りっぱなしです。
なので、その間、ずっと座席に座ったままです。
体が硬直して、ふしぶしが痛くなりました。
かなりきついバスの旅です。
そんなバス旅ですが、たまに他の乗客と話すこともありました。
3日間ずっと一緒ですからね。
背の高い、がっしりした若い男から話しかけられました。
『へえ、日本人か』
『俺は、今から自分の国に帰るんだ、エルサルバドルさ』
”どこの町まで行くの? サンサルバドルかい?”、とAki。
『おお、なんでその町の名前を知ってるの?、驚いた! そう、俺が帰る町だよ』
エルサルバドルの首都はサンサルバドルなんです。 たまたまAkiは知っていてあてずっぽで言ったのですが、あたりました。その男は、Akiがエルサルバドルを知っていることに驚き、とても喜びました。エルサルバドルというのは中南米の小国です。国名すら知られてないような国なのです。まして首都の名前など知らないのが普通。
エルサルバドル ※ネットからの引用
ロスからエルサルバドルまで5000km。それを陸路バスで帰るのです。
Akiたちは、メキシコシティーで降りました。それでも3000kmの旅。
頭と体がふらふら。
でも、その男は、まったく元気で、ほがらかに、そのままエルサルバドルを目指してゆきました。飛行機なら4-5時間なんでしょうけど、お金がないからバスで移動。
そんな中南米の人たちでバスはいっぱいでした。
メキシコシティーに着くと、とりあえず観光です。
泊まったホテルは旧市街にありました。
なので、ちょっと外へ出ると、そこはヨーロッパのたたずまい。
くすんではいますが、古い建物が多くあります。
広場に立つと、360度の視界の中にはまさしくヨーロッパ、スペインがありました。
ソカロ広場周辺 ※ネットからの引用
でも、地上に目を降ろすと、行き交う人の顔はヨーロッパ人ではありません。
浅黒く、背も低め、たくさんのインディオの人達もいます。
それがメキシコなんですね。
テオティワカンのピラミッド ※ネットからの引用
メキシコシティーから北東約50キロの場所にテオティワカン遺跡があります。Akiたちも行ってみました。ここにはピラミッドがあって、登れるんです。
テオティワカンは紀元前2世紀ごろに造られた都市で、最盛期には約20万人を超える人々が住んでおり、下水道まで完備されていたそうです。7世紀末には衰退し廃墟となってしまったこの遺跡は、アステカ族が見つけたときに規模があまりに巨大だったため、人間のものとは思えず「神々の座所」という意味の「テオティワカン」と名付けらたとのことです。
Akiたちも登ってみたのですが、意外と簡単に頂上までゆくことができました。
そこで、しばしの感動。
あと、メキシコシティーでヒッチハイクをしてみました。
簡単に止まってくれて、どこへ行きたいの? と聞かれて、トラックの荷台に乗せてくれました。荷台にはメキシコ人の労働者たち。身振り手振りで話そうとするのですが、なにを言っているのか、言いたいのかわかりません。スペイン語で唯一知っている、
ハポン(日本)を連呼して、あとはスマイル、それでもメキシコ人たちはにこにこしていました。
素朴でいい人たちなんだな、と思いました。
再びバス旅です。
でも、今度は、ロスアンゼルスではなく、メキシコシティーからアメリカのエルパソを目指しました。エルパソ(スペイン語で「峠」の意味)はアメリカ合衆国テキサス州最西端に位置する都市で、メキシコとの国境となっているリオグランデ川の北東岸、シウダー・フアレスの対岸に位置します。距離はちょっと短くて1泊2日で到着しました。
イミグレを通り、アメリカに入ると、ほっとしました。
すべてが快適で、道路もでこぼこしてなく、高速道路を猛スピードでバスは飛ばしてゆきます。
でも、検問です。アメリカ人の係官がバスに乗り込んできました。
密入国者のチェックです。一人一人、身分証を確認してゆきます。
ときおり、『俺はアメリカ人だ!』という声。
IDを持っていないアメリカ人が怒っているのです。
密入国者扱いされればそりゃあ怒るでしょう。
Akiたちはパスポートを素直に見せて、すんなり終わりました。
『メキシコバス旅』、アメリカとメキシコの国境を陸路で2回超えました。
そこで感じるたのは、恐ろしいほどの経済格差。
すべてが快適なアメリカ。
でこぼこ道のメキシコの貧しさ。
メキシコから南の中南米は、もっと貧しい。
日々、つらくて、厳しい生活だから助け合って生きていかなければならない、せめて明るく、朗らかにしていなければやってられない。
メキシコではそんな空気も感じました。
そして、そこに住む人たちが、ひたすらアメリカを目指し、自分も豊かになろうとする気持ちも、このバス旅で少し理解できたように思いました。
メキシコバス旅(終わり)